ホーキング 監督 フィリップ・マーティン
始めに、ノーベル賞受賞直前の物理学者の二人が、ノイズを録音したテープレコーダーの前で、インタビューを受けています。このノイズは何なのでしょうか?
スティーヴン・ホーキングの話が出ていますが、二人はスティーヴンと会ったことがないようです。
二人のインタビューは、スティーヴンの人生を描く間にたびたび差し込まれて来ます。
ソファーにもたれているスティーヴンの表情を観て、ハッとしました。
黒縁メガネとさらさらヘアで印象を変えているとは言え、ほんとにベネさんじゃないんです。ここにいるのはホーキングなんだな、と思わされた瞬間でした。
恋人のジェーンと一緒に過ごすときの無邪気な顔、宇宙の謎を解く理論を発見した瞬間の、輝くような笑顔…様々な表情を見せてくれます。
一方で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したスティーヴンは、だんだんと筋力が衰え、日常生活が難しくなっていきます。
蛇口が閉められず、お風呂が溢れてしまうところや、食事の動作も満足にできなくなっている様子は観ていて切なくなります。
時々、お風呂にもぐってタイムを計るシーンが出てくるんですが、これは趣味?それとも自分の体力を確かめているんでしょうか。
物理は苦手で、この映画に出てくる理論はさっぱりです^^;「特異点定理」に至っては、説明を読んでもよく分からず。
宇宙には始まりがあること(ビッグバン理論)、宇宙ができる時に、ブラックホールが多数発生すること、そのブラックホールが素粒子を放出して最後には爆発することなどが、彼が提唱した理論だそうです。
この映画でホイル教授と争っていたのは、ビッグバン理論についてです。
ホイル教授の論文が間違っていることを、黒板いっぱいに数式を書いて検証する姿はまるでガリレオ。ビッグバンを解明できる理論を発見した時は地面にも書いてました^^;
青色発光ダイオードもそうですけど、新しい技術を発見し、実用化するまでの長い道のりを考えると、それが実現した時の喜びって何にも代えがたいものなんだろうな…と。
スティーヴンのキラキラした笑顔を観ると、改めてそう思います。
歩くことやしゃべることも不自由になり始めている中、ジェーンにプロポーズするスティーヴン。
すぐに返事ができないジェーンに、「考えておいて」って言うのですが、研究が上手く行き始めて、プロポーズの方も自信をもって言えたのかな、と思います。
研究が同僚のペンローズにも認められて、(「モーツァルト!」というペンローズの台詞好きです^^)カレッジの住宅の便宜を図ってもらうために会計係の所にジェーンと一緒に行きます。
相手にしてくれない会計係に、スティーヴンの代わりに食ってかかるジェーンが、
「彼は私の夫になるんです」
と言うところがかっこいいです^^
その時のスティーヴンの自慢げな表情がかわいすぎます
ベネさんの演技はほんとに素晴らしくて、病気の苦悩に負けない、学者としての純粋な探求心や喜びが感じられました。
そして、こういう風にして研究は受け継がれて、また新たな発見につながるのだな…と思いました。