メッセージ  監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

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テッド・チャンの短編「あなたの人生の物語」を映画化した作品です。

地球の各地に、楕円形をした宇宙船が降り立ちます。これがお菓子の「ばかうけ」そっくりだって話題になり、監督も乗っかってましたね(笑)
7本脚をした宇宙人は、「ヘプタポッド」と名付けられ、言語学者であるルイーズ(エイミー・アダムス)と、数学者であるイアン(ジェレミー・レナー)は、彼らの言語体系を研究しコンタクトを取ろうとします。

その一方で、ルイーズは、自分の娘と過ごす断片的な記憶が何度もフラッシュバックするようになり、その中で、彼女が病気で亡くなる姿に苛まれます。

人間とは全く違う言語体系であるヘプタポッドの、イカの墨吐きのような表現方法、そしてその部分をとらえたり、他の墨の輪と比べたりしてだんだんと言語として理解していく、気が遠くなるような作業が淡々と進みます。
その間、世界情勢は暴動が起きるなど不穏な雰囲気に。ある時、ヘプタポッドが表現した言葉が「武器を与える」だったことから、中国は協定から離脱し、彼らを敵と見なすことにします。
ヘプタポッドが意味する「武器」とは何なのか、ルイーズ達が、この事態を回避することができるのかも見所です。

映画を観た後で原作も読みましたが、ヘプタポッドの言語を解明する過程は理解しづらかったので、映画での表現はやはり分かりやすくありがたいですね。
でも原作の、親子の場面から伝わる温かさは、映像とはまた異なる感動がありました。

この映画の重要な所は、ヘプタポッドの言語を理解することと、ルイーズの娘の記憶にどのような関わりがあるのかということです。それが驚くべき事実へとつながっていきます。
ルイーズが最後にした決断、自分だったらどうするだろうかと考えさせられました。とても勇気ある決断だったと思いますが、切ないです。

映画は、爆発など多少動的な場面もありましたが、だいたいは原作同様静かに淡々と進んでいました。内省的で哲学的なストーリーは、「ソラリス」と似通ったものがあると思います。
このしみじみとした切なさと感動は、最後までしっかりと観ないと得られないので、途中のゆったりとしたストーリー展開に飽きずに最後まで観てほしいと思います。