8月の家族たち  監督 ジョン・ウェルズ

イメージ 1

父親の失踪を機に、帰省してきた家族。母親を中心に、家族の本音と秘密があぶり出されていきます。

なんと言ってもバイオレット(メリル・ストリープ)ですね。癌に冒され、大量の薬と軽い認知症、そして元々の性格…のせいで、歯に衣着せぬどころか、ほとんど悪態、罵倒の域です。
そして、それに面と向かって立ち向かう長女バーバラ(ジュリア・ロバーツ)。
言葉の応酬、取っ組み合いと、二人のシーンは観ていて疲れます^^;

イメージ 2

結局バーバラは母親に似てるんですよね。それを自分でも分かっていて、嫌悪感をもってるんだと思います。でも、長女として責任感を感じていて、精神的に家族を背負わずにはいられない…損な役回りです。
夫のビル(ユアン・マクレガー)とは上手くいっていないし、娘は反抗期、味方になってくれる人もなく、孤独な戦いです。

次女のアイビーは母親の一番近くに住んでいて、実際の苦労をしているのは彼女かも。
でも、穏やかで優しい性格で、母親と上手くやってきています。
彼女の心の支えは、従弟のリトル・チャールズ(ベネさん)です。秘密の関係ではあるけれど、優しい彼と温かい愛情を育んでいます。

イメージ 3

リトル・チャールズ(以下リトチャ)は、バイオレットの妹マティ・フェイの息子で、なぜか母親から疎まれています。
寝坊して葬式に遅刻してきたり、求職中だったりと少々頼りない所もあるのですが、険悪な食卓の雰囲気を良くしようと別の話題を振ったりして、がんばっているところも見せています。
葬式に出られなかった事がショックで涙ぐむリトチャにキュンと来ます
そして、彼の良さを本当に理解してくれている父親チャールズの愛情にも心が温かくなります。
リトチャを傷つける言動をする母親に、はっきりと自分の考えを言い渡して啖呵を切る父親にはスカッとさせられます。
リトチャが自作の歌をピアノの弾き語りで、アイビーに話しかけるように歌うシーン、素敵です。曲も歌声もかわいくって アイビーに向けた笑顔も愛らしいです

イメージ 4

三女カレン(ジュリエット・ルイス)は奔放で、連れてきた彼氏もろくな男じゃないです。姉二人の苦労もきっとあまりよく分かってないですね。でも、母親とぶつかり合うバーバラの姿を小さい時からずっと見てきているのに違いないので、きっと嫌気がさしているのでしょう。
ジュリエットは、若い時もこういう役が多かったような…^^;

家族の秘密…中には、なんで?というような残酷なものもあるのですが、全てが明らかになって、バーバラの肩から初めて家族という重荷が取り払われたのかも知れません。ラストの彼女の表情、暗くはなかったように思います。
バイオレットも、最後にすがったのが家族ではなかったということから、やはり家族から解放されたということなのでしょう。

終始叩きつけるようなやり取りの続く中、リトチャの存在は清涼剤でした。でも、今後、彼にも試練が待ち受けていることを考えると切ないです。

何度も観るにはしんどい作品ですが、リトチャがかわいすぎるので、そこだけ何度も観たいです^^

イメージ 5